
CD世代の華やかでポップな恋愛ソング
80年代後半から90年代にかけて音楽を聴く手段がレコードからCDに大転換。また若者たちのマストアイテムはウォークマンで、音楽を部屋の外で聴くことが日常になりました。
そんな環境変化で、恋愛ソングもそれまでの重めの曲より、久保田利伸の「LA・LA・LA LOVE SONG」や、米米CLUBの「君がいるだけで」など、華やかで明るい曲がたくさん登場します。また失恋ソングもマイナー調のものからメジャー調に変わり、失恋自体もキラキラした前向きさを感じる曲が多くなります。
コミュニケーションもポケベルや携帯電話が登場。YUIの「CHE.R.RY」や、国武万里の「ポケベルが鳴らなくて」など、時代を象徴する曲なども多くリリースされました。そして携帯電話全盛期になると「着うた」が登場。恋愛ソングはさらにカジュアルなものになっていきます。
この頃の恋愛ソングは宇多田ヒカル、aiko、椎名林檎、MISIA、浜崎あゆみが登場、多様な恋愛の価値観を歌うアーティストの曲たちは、恋愛の価値観にも大きな変化をもたらしていきます。
そんな中でも宇多田ヒカルのデビュー曲「Automatic」は、こんな歌詞で始まります。
〈7回目のベルで 受話器を取った君 名前を言わなくても 声ですぐ分かってくれる〉
大切な人が電話に出てくるまでのドキドキ感。
まだ、この時代は健在だったんですね。